セックスレスに苦しんでも、その解決方法は意外とシンプルだった。誰にも邪魔されずに時間を楽しむ。それが浮気をする覚悟を持ってる二人だけの楽しみだった。
不倫は文化と言うけれど
結婚してからもう15年が経つ。今年で40になるが、夫婦仲はいわゆるレスってやつだ。無駄に広い道路に車を止めて、タバコを吸えるのも、この車にあれが乗らないからだ。4車線って誰が使うわけ?自衛隊?そんな吞気な事を思って仕事をサボるようになったのも、東京出張に行ったときのプチ浮気がバレた日からだ。
生まれて初めてドラマで見たシーンを体験した。家に帰るとカップラーメンだけが置いてあって、あれはもう別室で何かしている。それを見てから会話をするのを辞めた。
出会いアプリを使うのも、そんな毎日に慣れ始めた時だ。YYCは安全だし、悪くなかった。というか、こんな狭いところで出会いなんてあるのか。俺は昔から沖縄だけど、爺ちゃんが熊本だったから余計に感じる。不動産の会社に勤めている俺からすれば、リゾート地で旅行者を迎えるこっち側はそこまでお気楽に毎日過ごしている訳じゃないんだ。出会いなんてある訳ない。
そう感じたのもつかの間、俺は同年代の女性からメッセージをもらった。俺は顔の分かる写メを登録しているが、向こうは猫で顔を隠していた。肌は綺麗な褐色。程よい肉付きが健康的だった。
「Aさん、初めまして。私も夫婦仲が悪くて、げんなりです。」
サチカって名前のこの人は思ったより丁寧な文章を書く人だった。このメッセージをきっかけに俺たちは一晩で10回以上やりとりを交わした。
結局のところ、似た者同士だ。サチカさんは、旦那が後輩と出来ている。それが露骨に相手側の女と会っているアピールをするのが余計に苦しい、そんな話をしてくれた。
結局、文字だけの会話なんて味気ない。俺はお互いを理解できたと思った頃合いを見て食事に誘った。思ったよりも即答でオーケーをくれたとき、俺はあれとの関係の終わりを感じた。
訳アリの俺たちが行くところ
サチカさんを国際通りで拾って、俺たちはスグに市内を離れた。俺は仕事仲間に見られなかったし、サチカさんはどこでもいいと話してくれた。
白のワンピースに夏っぽいサンダル。身長は150位だろうか。思ったよりエロい体つきでだし、若かった時はきっとモテてたんだと思う。そんな女の余裕を俺の前でプンプン匂わす人だった。
「Aさん、いつもドライブされるんですか?」
「え?」
「ほら、ナビがないから詳しいのかなって。」
髪をかき上げながら、微笑む。思わずドキっとした。
「俺は生まれてからずっと沖縄なんでナビは必要ないですよ。サチカさんは車乗るんです?」
「あ、私はバイクなんです。ねぇ聞いて?実はローマの休日に憧れて買ったんですよ。」
会社の休憩室で話すような内容だったが、彼女のつけていた香水の香りが雰囲気を変えていた。
ドライブの途中から俺は彼女と手を握っていた。空いた道路を4速で悠々走る。海沿いは夕暮れが夜に変わる空に染まっていた。
「不安ですけど、なんだか落ち着きました。」
俺たち2人が身を隠すのに丁度いい場所。それはリゾートホテルのレストランだ。ちょうどいい。普段コンビニ弁当をコンプリートする毎日の俺としては、美味いものを食べたい。
「なんだか久しぶりにこんなところに着ました。オシャレでいいですね。」
俺と彼女は刺身の船盛、伊勢海老の鉄板焼きをしっかりと味わった。自然と会話は少ない。変な感じだ。お互いがお互いの雰囲気を感じている。那覇西道路を流す車は相変わらず少ない。まぁそうだろう。今は秋だ、海がメインの観光地にとってこの季節は落ち着いたもんだ。
「Aさん、わたしね。」
急に話し出した彼女に返事ができず、目でうなづいた。
「いえ、あのね。嫌じゃなきゃ今日ずっといれますか?」
俺は箸を落としてしまった。
エレベーターに乗った彼女を抱きしめた
俺も今日はこのままでいいやと思った。明日は休みだし、どうせ家に帰っても奇妙な隣人を抱えた一人暮らしだ。なら、この一夜だけでも女の温もりを感じたい。彼女がトイレに行ってる間にフロントに行く。
「部屋空いてますか?」
「ええ、もちろん。ダブル?ツインですか?」
何も詮索しないフロントマンは3分程で部屋を用意してくれた。サチコさんが会ったときよりも丁寧な化粧をした感じで出てきた。
「この後、どうします?」
「じゃあ、ついてきてくれますか?」
エレベーターに乗り、6階の客室階を押すと彼女は俺を大きな瞳で見つめた。
「ありがとう。」
それだけ言って彼女は俺に抱きついてきた。泣いている訳でもない。だけど、何かにすがるように強く抱きついてきた。
部屋に入ると彼女はポーチをソファーに投げて、窓のカーテンを開けた。夜はまだ9時を過ぎたあたりか。彼女はベッドに座って俺に話しかける。
「あのね、本当は私ね。セフレ?っていうのかな。けっこうかっこいい大学生の子とセックスしたっていうか、遊んでたの。」
また大きな瞳で俺を見つめる。
「だけど、今日は自分と等身大の男性に見てもらいたくって。」
声が湿っている。なんだ?
「私って尻軽かもしれないけど、私まだ女として魅力ありますか?」
涙ぐんだ彼女の顔は真剣なまなざしと、不安な表情が入り混じっていた。俺と同じ40前とは感じられないほど、幼く感じたその眼差しに俺は崩れた。
彼女を抱きしめてキスをした。最初は嫌がる彼女も、首筋を舐められ耳の中を愛撫してやると、両足で俺を挟むように抱きしめて受け入れていた。
「Aさん、今日は全部忘れさせて?」
俺が何も言わず、ワンピースをめくり下着をずらして、いきなり息子を突き入れた。根本まで入れる気はなかったが思ったよりも彼女の中は俺を受け入れる用意は出来ていたようだ。この後、俺は彼女を何度も求め、彼女も何度も潮を吹いて喜んでいた。セフレ関係になった。
結局のところ、俺達の日常は変わらなかった。相変わらずのカップラーメン。彼女は相変わらず平日はイケメン君と会っているようだった。そんな毎日のなかでも楽しいと感じれた。彼女以外にも会っている女性は何人かいる。この先どうなるか分からないが、いいだろう。今は寂しい自分を埋める為に出会い系を使っていきたい。